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「親の介護」で生活と仕事はどうなる?
2020.2.19 くらしのマネー辞典
2019年は甚大な被害をもたらす自然災害が相次ぎました。被災者支援の一環として義援金を送った人は、「寄付金控除」を受けて税金が還付される場合があります。対象となる寄付や減税される金額、確定申告の方法について見ていきましょう。
そもそも「寄付」とは、金銭や財産を公共事業や公益・福祉・宗教施設などへ無償提供すること。なかでも、被災者の生活再建支援に充てられる寄付金は「義援金」と呼ばれ、主に被災した自治体や中央共同募金会、日本赤十字社で受け付けています。
2019年は各地で台風被害が相次ぎ、さらには首里城の火災などもありました。こうした被災地へ送る義援金は、自治体への寄付となるため、「ふるさと納税」に該当します。
ふるさと納税も含め、個人が行う寄付は、条件を満たせば寄附金控除の対象になります。寄付をした人の所得税や住民税が軽減されるので要チェックです。
ただし、コンビニの募金箱への現金投入、Webサイト上からのポイント寄付など、受領書が発行されない寄付は寄附金控除の対象にはなりません。
ふるさと納税ポータルサイト経由や日本赤十字社への義援金、自治体の義援金専用口座への振込の場合は、利用明細書が受領書の代わりになる場合もあります。寄付する際に要項を確認しましょう。
寄付金控除の対象は、下記のような寄付です。詳細は国税庁のサイトをご覧ください。
最近はクラウドファンディングで集める寄付も登場していますが、寄付金控除の対象かどうかは個々に異なります。寄付をする前にクラウドファンディングの主催団体に確認を。
寄付金控除の対象になる寄付をした場合、寄付額の2,000円を超える部分について、所得税・住民税の控除を受けることが可能です。
寄付金控除には2種類あり、一般的なのは「所得控除」。寄付金控除額の計算は次の通りです。
所得控除を受ける場合の控除額の計算
所得控除=その年に支出した寄付金額※−2,000円
※所得税で総所得等の40%まで、住民税で30%まで
例えば、年収500万円(所得税率は10%と仮定)の会社員が、日本赤十字社への寄付やふるさと納税で1年間に5万円の寄付をした場合、実際に減税される金額は次のように計算できます。
所得控除:50,000円-2,000円=48,000円
所得税:48,000×10%=4,800円
住民税:48,000×10%※=4,800円
もう1つの寄付金控除に、「税額控除」があります。これは認定NPO法人または公益社団法人などへの寄付金のみ、前述の「所得控除」とどちらか有利な方を選んで利用することが可能です。
税額控除を受ける場合の寄付金控除額の計算は次の通りです。
税額控除を受ける場合の控除額の計算
(控除額は所得税額の25%まで)
税額控除=(その年に支出した寄付金額※-2,000円)×40%(政党などへの寄付は30%)
※総所得等の40%まで
例えば、年収500万円(所得税率10%と仮定)の会社員が、認定NPO法人に5万円の寄付をした場合、減税される金額は次のように計算できます。
所得税:(50,000円-2,000円)×40%=19,200円
(所得税額の25%まで)
住民税:48,000×10%※=4,800円
通常、「税額控除」のほうが節税効果は大きくなります。「税額控除」の対象となる公益法人等は内閣府のサイトで確認しましょう。
寄付をして寄付金控除を受けるには、原則、翌年の2月16日〜3月15日頃に確定申告をする必要があります。
確定申告とは、前年1年間(1月1日から12月31日)の所得と納税額を計算し、税務署に申告・納税を行うこと。納めすぎた税金を還付してもらう「還付申告」の場合は、1月1日から申告が可能です。5年間までは還付請求ができるので、忘れていた場合は遡って申告しましょう。
自営業や個人事業主の場合は、基本的に確定申告をする必要があります。会社員でも、確定申告をすべきケース、した方がいいケースがあります。
【関連記事】サラリーマンでも確定申告は必要?
ただし、ふるさと納税で自治体に寄付したのであれば、寄付先が年間5自治体までであれば、確定申告が不要な「ワンストップ特例」が活用可能。所定の書類を自治体に送付するだけで寄付金控除を受けられます(翌年の1月10日までに申請)。
「ワンストップ特例」について、詳細は総務省「ふるさと納税ポータルサイト」をご覧ください。
確定申告書は、国税庁サイトの「確定申告書等作成コーナー」で作成できます。条件が合えば「e-Tax」で電子申請を行うことも可能です。
手書きで作成する場合は、寄付金控除を受けるには「第二表」の「住民税に関する事項」への記載を忘れないようにしましょう。
確定申告(還付申告)後、書類の不備がなければ、1〜2ヵ月ほどで所得税の還付金が振り込まれます。一方、住民税は翌年6月以降の納税額が軽減されます。会社員なら勤務先から届く「住民税決定通知書」で確認しましょう。
寄付とは助け合いの仕組み。誰かを助けたいという気持ちが寄付につながり、その思いをわずかながら減税で支えるのが寄付金控除だと思います。
寄付をきっかけに、所得税・住民税の節税について考えてみるのも良いですね。例えば、節税しながら老後資金作りができる「iDeCo」など、これを機に検討してみてはいかがでしょう。
豊田 眞弓(とよだ まゆみ)
ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー、相談診断士。FPラウンジ代表。マネー誌ライター等を経て、94年より独立系FP。現在は、個人相談のほか、講演や研修講師、マネーコラムの寄稿などを行う。大学・短大で非常勤講師も務める。「親の入院・介護が必要になったときいちばん最初に読む本」(アニモ出版)など著書多数。座右の銘は「今日も未来もハッピーに!」。