スペシャル対談
林敏之×古賀由教
「『ヒーローズカップ』から
日本ラグビーの未来に差し込む光」後編

チームで戦う意味

古賀選手は、ラグビーの価値をどんな時に感じたりしますか。

古賀:価値というか、自分が普段感じていることでもいいですか?

お願いします。

古賀:ディフェンスの局面で、大きな相手が自分に向かってくるとします。たぶん、普通だったら怖いと思うんです。でも、タックルせずに逃げてしまい、そのことでチームから信頼を失くしてしまう恐怖の方が大きいんです。

:それは、とてもよく分かるなあ。

古賀:目の前の怖さよりも、チームの信頼を得るために体を張る。その価値観を、僕はラグビーから得られたと思ってます。僕はウィングなんで、林さんのように相手とぶつからざるを得ないフォワードの方に言うのは、なんだか申し訳ないんですけど。

:いやいや、自分はぶつかっていくのが好きだったからね(笑)。ラグビーって、試合前に泣く選手がいるでしょ?

古賀:ビッグゲームの時は、いますね。

:昔、お相撲さんは体の大きな相手とぶつからなきゃいけないのに、泣かない。どうしてラグビー選手は泣くんだ?と質問されたことがあったけど、それは戦うのがひとりじゃないからだと思うんだ。チームメイトがお互い、感情の波が共鳴し合うからこそ、感情が高ぶる。そうした熱い気持ちがあるからこそ、体を張れると思うんです。

これからの目標とメッセージ

それでは最後に、古賀選手のこれからの目標をお聞かせください。

古賀:夢の舞台であるワールドカップや、オリンピックに出場するのは大きな目標ですね。自分のアプローチとしては、大きな目標を達成するために、どれだけ小さなゴールを達成できるかが大切だと考えています。まずはリコーブラックラムズで試合に出る、セブンズの合宿に呼ばれ続ける。小さなことを積み重ねていって、大きな舞台につなげていきたいですね。

今年の大会に参加する小学生のみなさんにメッセージをお願いします。

:古賀君は、去年の大会に来てくれたんだよな。

古賀:コロナ禍の中で、関係者の方たちが尽力され、開催されたこと自体が素晴らしいことだったと感じました。ヒーローズカップの卒業生として、それは感謝してもしきれないです。

:それは、ありがとう。

古賀:小学生のみなさんには、ヒーローズカップは全国の他の地域の選手と最初に出会える機会なので、そこで新たな仲間を作ってくれればうれしいですね。ここが始まりであると同時に、日本一を目指せる貴重な機会ですから、ヒーローズカップでプレーするからには日本一を目指して、それ自体を楽しんで欲しいですね。

林さん、古賀選手のようなたくましいOBがこれから世界に羽ばたいていって欲しいですね。

:本当にそう。ヒーローズカップの卒業生が花園の高校ラグビー、そして大学でも活躍して、そろそろトップリーガーも出てきてね。もちろん、ワールドカップに出場してくれたらうれしいですけど、それ以上にラグビーの教育的な価値が広がっていくように、活動を続けていきたいですね

ヒーローズカップのこれからの発展を祈っています。

生島淳=文、杉山拓也=撮影


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