つみたてNISAの特徴は?
つみたてNISAにはどんな特徴があるんですか?
つみたてNISAには、運用益が非課税、積立に適した商品ラインナップ、
少額から投資可能といった特徴があります
つみたてNISAを長期運用することによって得られるメリットを説明する前に、まずはつみたてNISAそのものの基本をチェックしてみましょう。
以下では、つみたてNISAならではの特徴を4つのポイントに分けて説明します。
@少額から始められる
つみたてNISAは、もともと投資経験が少ない方の投資を支援するための制度ですので、少額から資産運用を始めることができます。
家計に負担をかけずに投資を始められるので、「株式やFXを始めるには元手が足りない……」という方でも、コツコツと地道に資産を運用していくことが可能です。
A長期・積立・分散投資によるリスク低減と複利効果得られる
1つの銘柄に対して一括で投資すると、価格が上がったときに大きなリターンを期待できる一方、価格が下落したときに大きな損をしてしまうリスクがあります。
その点、つみたてNISAは投資信託を通して株式や債券などの複数の投資先に分散投資できるので、リスクを抑えて資産運用することができます。
積立投資の効果について、くわしくは後述します。
B積立投資に最適な商品が厳選されている
さらに、つみたてNISAの投資対象商品は、長期・積立・分散投資に適した商品になるよう、法令によっていくつかの条件が設けられています。
一例を挙げると、「購入時手数料が0円(ノーロード)」「信託報酬が低い」「頻繁に分配金が支払われない」などがあります。
商品ごとに特長は異なりますが、どの商品を選んでも長期・積立・分散投資しやすい仕様になっているところが特徴です。
C運用益が非課税になる
つみたてNISAは、毎年40万円を上限として、各年で購入した投資信託を保有している間に得た運用益が非課税になるという特徴があります。
運用益に対して20.315%の譲渡益課税が発生する通常の資産運用に比べると、より効率よく資産を増やすことが可能です。
なお、つみたてNISAの非課税期間は最長20年間となっています。
D運用スタイルを柔軟に変えられる
投資商品によっては、投資金額が固定されていたり、中途換金できなかったりするものも多く見受けられます。
つみたてNISAは、途中で投資金額を変更したり、必要に応じて現金化したり、購入商品を変えたりと、ニーズに合わせて柔軟に運用スタイルを変えることができます。
つみたてNISAの概要や特徴について、よりくわしい情報はこちらの記事を参考にしてください。
つみたてNISAとは? つみたてNISAのメリット・デメリットから始め方まで完全網羅!
長く運用するほど効率よく資産を増やせる!積立投資の効果とは
積立投資が、長く続けるほどメリットが大きいと言われるのはなぜですか?
積立投資は、長期的に運用すれば複利効果で効率よく資産を増やすことができます
短期間でハイリターンを狙うのなら、価格が安くなった時に購入し、価格が高くなった時点で売却するという投資方法を繰り返す必要があります。
ただ、ファンドの値動きを予想するのは難しく、特に投資経験の少ない方は、売買のタイミングを誤って損をしてしまう可能性大です。
そんな投資の悩みを解消する方法として注目されているのが「ドルコスト平均法」です。
ドルコスト平均法とは、商品の値動きにかかわらず、毎月一定額を積立投資していく方法のことです。
この方法で積立投資すると、価格が高いときは少量しか購入できませんが、逆に価格が安いときは多く購入することができます。
その結果、購入単価が平準化されるので、安いときに買いそびれる、高いときに多く投資してしまう、といった心配がなくなります。また、購入するタイミングに悩むこともありません。
つみたてNISAは、ドルコスト平均法を活用した投資制度のひとつであり、リスクをおさえて資産運用できるところが特徴です。ドルコスト平均法については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
さらに、複数のファンドに分散投資することで、よりリスクを減らせるのもつみたてNISAならではの利点です。
ただ、少額から積立投資するのはリスクを抑えられる一方、大きなリターンを見込むのも難しくなります。
そのため、つみたてNISAで資産を運用するのなら、なるべく長く保有して運用残高を増やし、複利効果を狙うのが最も効率的な方法といえます。
また、つみたてNISAは毎年40万円までの新規購入額に対する、各年で得た運用益が非課税になるメリットがあるため、通常の投資信託よりも賢く資産を増やしていくことができるでしょう。
実際どれくらいの複利効果が? シミュレーションしてみよう
長期運用による複利効果って、具体的にどのくらいお金を増やせるんですか?
つみたてNISAの複利効果は、毎月の投資額・投資期間・利回りの3つがあれば簡単にシミュレーションできます
以下では、つみたてNISAで毎月積み立てた場合の運用益を、パターン別にシミュレーションしてみました。
毎月1万円を積み立てて利回り3%で運用した場合(円)
5年後 | 10年後 | 20年後 | ||
---|---|---|---|---|
運用残高 | 647,402 | 1,397,919 | 3,276,605 | |
元本合計 | 600,000 | 1,200,000 | 2,400,000 | |
運用益 | 47,402 | 197,919 | 876,605 | |
節税額(運用益の20.315%) | 9,630 | 40,207 | 178,082 |
毎月2万円を積み立てて利回り3%で運用した場合(円)
5年後 | 10年後 | 20年後 | ||
---|---|---|---|---|
運用残高 | 1,294,804 | 2,795,838 | 6,553,211 | |
元本合計 | 1,200,000 | 2,400,000 | 4,800,000 | |
運用益 | 94,804 | 395,838 | 1,753,211 | |
節税額(運用益の20.315%) | 19,259 | 80,414 | 356,165 |
以上のシミュレーション結果のように、積立投資は毎月の積立金額・利回りが同じ場合でも、2倍の期間運用すれば運用益はさらに大きくなっていることがわかります。
たとえば毎月3万円を積み立てて利回り3%で運用した場合、5年後の運用益は約14万円ですが、10年間積み立てると約59万円に増え、20年間積み立てると、約263万円の利益を得られる計算になります。
毎月3万円を積み立てて利回り3%で運用した場合(円)
5年後 | 10年後 | 20年後 | ||
---|---|---|---|---|
運用残高 | 1,942,207 | 4,193,757 | 9,829,816 | |
元本合計 | 1,800,000 | 3,600,000 | 7,200,000 | |
運用益 | 142,207 | 593,757 | 2,629,816 | |
節税額(運用益の20.315%) | 28,889 | 120,622 | 534,247 |
さらに、つみたてNISAは年間40万円までの新規購入額に対する運用益が非課税になるので、通常の投資信託よりもお得に利益を得ることができます。
自分のパターンに当てはめて運用益や節税額を計算したい場合は、こちらのシミュレーションをご利用ください。
まとめ
積立投資は、商品の値動きにかかわらず、毎月一定額を積み立てていくドルコスト平均法で投資していくので、高値の時に購入してしまうリスクを低減できます。
さらに、つみたてNISAは分散投資が基本なので、1つの銘柄に集中して投資するよりも、価格上昇や下落のあおりを抑えることができます。
ただ、少額を長期間にわたって積み立てていくことで利益を得るスタイルのため、短期間では資産運用の恩恵をあまり受けられません。
つみたてNISAの非課税期間は最長20年間ですので、複利効果を高めるためにも、なるべく20年間はコツコツと運用していくことをおすすめします。
- ※2021年11月現在の情報です。今後、変更されることもありますのでご留意ください。
金子 賢司
個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務めるファイナンシャルプランナー。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信している。CFP、日本FP協会幹事。